2025.09.26
「事業創造を担う人材と未来を拓く」—エージェントとの対等なパートナーシップで挑むエグゼクティブ人材採用

システムインテグレーターとしての枠を超え、BtoBtoC やBtoC、BtoS(社会)も視野に入れたソーシャルイノベーションサービスを推進するTIS株式会社。
2024年に策定した新たなグループビジョンのもとで「フロンティア開拓」を基本方針として掲げ、事業の非連続な成長に挑んでいます。
グループビジョンの実現に向け、同社は従業員の新たな領域への挑戦を後押しするための人事制度改革を断行するとともに、既存人材とは異なる強みを持つエグゼクティブ層の招聘にも注力してきました。
こうした取り組みを実効性のあるものにするため、採用の在り方そのものを見直し、その採用を強化するため、「HRBP室」と事業部門が連携した組織横断型の採用体制を構築、
パーソルキャリア エグゼクティブエージェントをはじめとした外部パートナーとの連携も深め、ビジョンに共鳴する候補者との出会いを生み出しています。
同社ではどのようにエグゼクティブ人材の採用戦略を描き、成果へつなげているのでしょうか。「経営」「人事」の各視点から語っていただきました。
河村 正和(かわむら まさかず)様 MASAKAZU KAWAMURA
TIS株式会社
常務執行役員 企画本部長 兼 人事本部長
藤澤 孝多(ふじさわ こうた)様 KOTA FUJISAWA
TIS株式会社
人事本部 HRBP室 室長

TIS株式会社
顧客の事業課題へ踏み込み、ともにビジネスを創造できる人材を求めて
現在のTIS様の事業で特に注力している領域や、成長戦略についてお聞かせください。
河村氏:当社が強みとしているのは、金融系や産業系の大型開発プロジェクトです。日本国内にとどまらずASEANなど海外にも展開しており、グループ全体では2万人を超える人材が活躍しています。
現在ではBtoBのシステムインテグレーターとしての価値を超え、自社アセットを活用してBtoBtoCやBtoC、さらにはBtoSを視野に入れたソーシャルイノベーションサービスの創出にも挑戦しています。 2032年に向けたグループビジョンのもと、2024年4月からの3か年計画として策定した中期経営計画では「フロンティア開拓」を掲げ、新たな事業領域を開拓しているところです。
具体的な事業としては、当社の強みである決済のノウハウやアセットを活用し、金融業の顧客にとどまらず、鉄道や流通など金融以外の分野でカード決済事業に取り組む顧客企業に対して支援を行っています。 また、二次元コードを活用したゲートウェイシステムの構築や、国際的な決済インフラの整備など、新たな事業展開が進んでいます。

新たな成長戦略を推進する上で課題としていることは何でしょうか。
河村氏:既存事業は好調に推移していますが、これは一方で変革を進める上での壁にもなり得ます。新規事業を育てるには長期的な視点と投資が不可欠ですが、企業としては短期的な業績の維持・向上も求められるため、既存事業の成長も止めるわけにはいきません。このように、安定と挑戦のバランスがジレンマを生むのです。
既存事業は「何をすれば成長できるか」が比較的明確であるため、ついそちらにリソースを割いてしまいがちです。しかし、その既存事業もまた外部環境の変化にさらされています。 新規事業であれ既存事業であれ、変化に対応し、新たな挑戦を続けることが必須です。
こうした課題に対応するため、当社では人事制度改革に取り組み、従業員の新たな領域への挑戦を正当に評価する仕組みを整えました。加えて、異なる強みを持つ人材を社外から迎え入れることで非連続な成長を実現しようとしています。当社には、お客さまの要件に従ってシステムを構築する技術系人材が数多く在籍しているものの、たとえば「クレジットカードシステムの課題を超えて事業課題にまで踏み込み、お客さまとともにビジネスを創造できる人材」は限られていました。そのため、現在はHRBP室を中心に、エージェントと連携しながらエグゼクティブ人材の招聘を本格化させています。
経営視点では、エグゼクティブ人材にどのような資質を求めていますか。
河村氏:現在のように変化が激しい時代において、当社の競合は従来のシステムインテグレーターやコンサルティングにとどまらず、商社やメーカーなどにも広がっています。お客さまとも知恵を出し合いながら新たな事業を創造していかなければなりません。
そのためには、社会の変化に常にアンテナを張っていることが重要です。社内にいるだけではどうしても同質的な価値観に染まってしまうため、外部から変革の火種を持ち込んでくれる存在を求めています。
もう一つは「大局観」を持った人材です。当社はシステムインテグレーターとして社会課題に対するさまざまな事業戦略を描き、実際に決済・ヘルスケア・都市問題などに幅広く取り組んでいます。その中で、当社のケイパビリティをどこに振り向けるかを見極め、舵を切る力——つまり、社会や業界の動向を俯瞰しながら、事業の方向性を判断できる視座が必要なのです。
エージェントは対等なパートナー。「苦しい思い」も共有する
具体的な採用活動の取り組みについて伺います。エグゼクティブ人材の採用にあたり、人事部門として感じていた課題をお聞かせください。
藤澤氏:数年前までは、エグゼクティブ人材を招聘する仕組みが確立されていませんでした。 また、事業の多様化が進む中で、全社一律のキャリア採用ではなく、事業ごとに特化した採用が求められるようにもなりました。
そこで私たちHRBP室では、事業部門と連携した採用活動に取り組んでいます。現在は各事業部に担当者を配置し、事業部長や部門長と積極的にコミュニケーションを取り、「このような事業課題があるのではないか」といった対話を通じて、採用ニーズを顕在化させていくようにしています。例えば「サイバーセキュリティ領域の優秀な人材の採用が必要になりそうだ」といった展望に対して、背景や目的を丁寧に聞き取り、採用活動に落とし込んでいます。

採用の質を高めるために、エージェントとはどのような関係を築いていますか。
藤澤氏:エージェントとの関係性は、よくある受発注のような上下関係ではなく、同じゴールを目指す「パートナー」であることを重視しています。私は人事へ異動する前の事業部門で、セールスやエンジニアを経験していたときに顧客との受発注の関係に苦しんだことがありました。だからこそ、互いに本来の力を発揮するためには、対等に語り合えるパートナー関係が必要だと考えているのです。人事に異動してからもエージェントを「業者」として見る空気が一部にありましたが、そうした意識を変えるための働きかけを続けてきました。
対等なパートナーとしての関係性を築くことで、単なる成果以上の価値が得られます。例えば、経営や組織の課題解決に向けて、求人を正式に募集する前の段階から転職マーケットの情報や過去の事例を交えながら意見をいただくことも少なくありません。
また、有力な採用候補者が入社を承諾するかどうかの瀬戸際では、ともに悩み、苦しい思いを共有することもあります。受け入れ時の組織体制や役職名など、オファー内容の詳細については、当社とパーソルキャリア エグゼクティブエージェントの担当者とで何度もディスカッションを重ね、候補者にとって最適なオファーとなるよう丁寧に調整を進めています。だからこそ、会社の垣根を超えてワンチームで課題に取り組むことが重要だと感じます。
エグゼクティブ人材が持つ「壮大なビジョン」をいかに実現できるか
TIS様では、パーソルキャリア エグゼクティブエージェントが提供するサービス「リテーナーサーチ」を活用していただいています。この導入背景を教えてください。
藤澤氏:リテーナーサーチでは、通常の転職希望者のデータベースにはいない潜在候補者も含めて探索できる点に価値を感じています。パーソルキャリア社側で候補者をリストアップし、事前に面談を行って、当社のビジョンや価値観との適合性まで見極めていただいています。
パーソルキャリア エグゼクティブエージェントの皆さんは、人に対して真剣に寄り添い、きめ細かなフォローをしてくれます。加えて当社のビジョンや価値観についても深く理解してくれており、その信頼関係があったからこそリテーナーサーチを導入しました。
エグゼクティブ層の候補者は引く手あまたで、自社を選んでもらうことに苦戦する企業も少なくありません。TIS様ではどんな工夫をされていますか。
藤澤氏:エグゼクティブ層の候補者には、「これまでの経験や人脈を活かしてこんなことを成し遂げたい」「人生で誇れる仕事をしたい」といった壮大なビジョンを持っている方が多くいらっしゃいます。私たちは、そうしたビジョンに対し、当社でどう実現できるかを提案し、納得してもらうことが必要だと考えています。
通常の中途採用プロセスは「2回の面接とオファー面談」という流れですが、エグゼクティブ人材の採用ではその間にカジュアル面談や会食を挟み、互いを深く知るための機会を設けています。単に事業内容を理解してもらうだけでなく、「誰と何を成し遂げるのか」という点に共感していただけるように工夫しています。また、役員・部長クラスにも積極的に会っていただいていますね。
実際に採用された方の入社後の活躍について、印象的な事例があれば教えてください。
藤澤氏:過去に培った知見や人脈を活かし、当社がこれまで進出できていなかったマーケットを開拓してくれている方がいます。私たちはシステム構築に長けていますが、その先にある事業展開やマーケットに関する知見は、プロパー人材には不足している面もあります。そうした部分を、コンサルティングファーム出身でIT経験のない方が見事に補ってくれています。

既存人材と会社の結節点となり、時には耳の痛いことも指摘してほしい
今後のエグゼクティブ人材の採用では、どのような方を迎え入れたいと考えていますか。
河村氏:当社は、従来のシステムインテグレーターとしての経験や技術的強みに支えられてきました。その反面、発想がプロダクトアウトになりやすく、必ずしも市場ニーズと一致していないケースもあります。
私自身は経営リソースの配分責任を持つ企画本部長として、新たなサービスやプロダクトのアイデアに論理的整合性があれば投資を承認してきましたが、マーケットインの視点をより重視すべきだと感じる場面も多々ありました。
例えばヘルスケア領域では、システムの先にいる患者さんや、制度を担う国・自治体との接点が不可欠です。医療DXのような国策を理解し、社会全体を見据えてビジネスを構築できる存在が欠かせません。社内の既存人材と会社同士の垣根を無くすための結節点となり、時には耳の痛いことも指摘できる。そんなエグゼクティブ人材を迎え入れたいですね。

未来の仲間に向けて、お二人の思いを聞かせてください。
藤澤氏:当社グループは60社以上、2万人を超える人材を有し、ASEANを中心にグローバル展開しています。このプラットフォームを活用し、ともに新たな価値を創造していきたいと思っています。単にコンサルティングを行うのではなく、事業そのものを生み出していく。そんなキャリアを歩んでいただける環境が整っています。
河村氏:一見すると、当社はBtoBのシステムインテグレーターに見えるかもしれませんが、実際にはBtoBtoCやBtoC、BtoSまでを視野に入れた事業創造に取り組んでいます。フロンティア開拓の道のりはまだまだ途上。新たに加わるエグゼクティブ人材にとって、刺激的でやりがいのある舞台があります。TISの舞台を活用して世の中にどのような価値を創出していきたいか。その思いを聞かせていただきたいですね。